『令和8年度税制改正大綱』公表年収の壁対策と教育資金贈与終了
2026年3月2日

2025年12月26日、『令和8年度税制改正大綱』が閣議決定されました。この改正では物価上昇への対応として基礎控除額や給与所得控除額の引上げなど、個人の税負担に直結する見直しが注目されています。今回は大綱のなかから主なポイントを抜粋して紹介します。
基礎控除・給与所得控除が拡充
物価高に対応した税制見直し
『令和8年度税制改正大綱』の注目点の一つは、物価高と三党合意を踏まえた、いわゆる「年収の壁」への対応です。
物価上昇局面における税負担の調整を目的に、基礎控除等の見直しが行われ、所得税の基礎控除については、合計所得金額が2,350万円以下の個人を対象に、控除額が4万円引き上げられます。これにより、給与所得者や年金受給者など、幅広い層で税負担の軽減が期待されます。
また、所得税および個人住民税における給与所得控除の最低保障額も、65万円から69万円へと引き上げられます。
この最低保障額は、給与収入が比較的少ない層に直接影響するため、パート・アルバイトなどを含む低・中所得層への配慮が強く意識された改正といえるでしょう。
基礎控除には、一定の所得以下の方を対象とした特例的な加算措置が設けられています。具体的には合計所得金額が655万円以下の場合、令和8年および令和9年に限り、控除額が上乗せされます。加算額は、合計所得金額が489万円以下で42万円、489万円超の場合は5万円です。
物価上昇による生活コストの増加を踏まえ、税制面から家計を支える姿勢が明確に示された内容といえるでしょう。
ただし、これらの見直しには一部、令和8年、令和9年のみの一時的な措置が含まれている点に注意が必要です。今後の物価動向や経済状況によって、さらなる調整が行われる可能性もあり、引き続き制度の動向を注視する必要があります。
教育資金贈与制度が終了
相続・贈与実務に与える影響
相続・贈与分野で特に大きな影響が見込まれるのが、「教育資金の一括贈与に係る贈与税の非課税措置」の終了です。この制度は、親や祖父母などの直系尊属が、子や孫に対して教育資金を一括で贈与した場合、受贈者1人当たり最大1,500万円までを非課税とするもので、長年にわたり相続対策や資金移転の手段として活用されてきました。
平成25年4月1日の施行から適用期限は何度か延長され、令和8年3月31日までとされていましたが、今回の改正では延長されず、制度は予定通り終了することとなります。
これにより、教育資金贈与を前提とした生前対策を検討していた家庭では、早急な見直しが求められるでしょう。
一方、将来世代の資産形成支援という観点からは、「ジュニアNISA」の実質的な復活ともいえるNISA制度の拡充が行われます。
今回の改正では、つみたて投資枠の口座開設可能年齢が0~17歳に広がり、未成年者でも長期・分散投資による資産形成が可能となります。対象期間中の年間投資枠は60万円、非課税保有限度額は600万円とされており、親や祖父母が子や孫の将来に向けて計画的に資金を拠出する新たな選択肢となります。
教育資金の一括贈与に係る贈与税の非課税措置の終了により、非課税制度を活用した「資産形成による支援」へと政策の軸足が移っている点は、今後の相続・贈与対策を考えるうえで重要な視点といえるでしょう。
※この記事は2026年1月末時点の情報に基づいています。その後の法改正で対応が異なってくる場合もございますので、気になる方は一度あすか税理士法人までお問合せください。